イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「いい眺めだ」


俺は赤字続きの『B.C.Building lnc.』の社長に就任。

岩佐さんの手を借りて、会社を黒字に転換させて都心にこのビルを完成させた。


ヘリポートへと上がり二人で東京の夜景を見つめる。

吹き付ける風が俺達の髪をネクタイを揺らした。


このビルは俺の成功の証。

闇に浮かぶ月の光よりも輝く東京の街。

一つ一つビルの窓から溢れる真珠のような光。
賑わう繁華街の虹色の光。

様々な色の光で東京の夜景が形を成す。

莉人は昔と変わらず空を見渡して、天国を探していた。


「おめでとう。悠真」

「莉人?」

「もう泣くだけの悠真じゃないな」

とっくに涙は枯れている。残ったのは俺を金と引きかえに捨てた母への憎しみだけ。


「俺はもう泣かない」




でも、菜穂のコトを考えると泣きそうになる。


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