イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「その男性は俺と同じ境遇だと言ったな…その男性の父親が彼女の父親を殺したと言うのか?」


「父親だけではなく母親も殺したんですよ。勿論、男性の父親が直接殺しに関わったワケではありません」


「誰かに命令したと言うコトか・・・まるっきし、俺と同じだな・・・」

心の中を染めていた絶望の雨に微かな光が差し込んだ。


「その男性は後悔しています。彼女の為に良かれと思った選択が裏目に出たんですから」


「菜穂の手を離さない方がいいのか?倭人」


「それは菜穂さん次第ですね」


「菜穂のキモチか・・・」


俺は寝室の入口を見つめる。

倭人の話に微かな光を見出しながらも、それは俺のキモチだけではなく、菜穂のキモチも訊かなくてはいけないか。


でも、すべてを考えると陰鬱になる。
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