イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「昨日のある男性の話って・・・今の総理の話か?」

「・・・早く行きましょう。貴方だって仕事があるでしょ?」

「総理の口から菜穂に説明して貰えないか?」

「何を説明するんですか?」

倭人の口調に怒りの感情がこもる。

「菜穂の父親を殺したのは、総理の父親・伊集院源造元総理の命令だと」

そう言って貰えば、俺の罪は軽くなる。
菜穂だって俺とのコトを考え直すかもしれない。その糸口が欲しかった。

「お断りします。ウチの総理に全部押し付けないで下さい!!確かに昨日の話は総理の話です。でも、それは・・・」


「総理の口から全てを語って下されば、莉人だって・・・」


「莉人のコトを考えると俺だって辛いです。一時は総理秘書官を辞めようと思いましたが・・・この一件で考えが変わりました。これからも、総理にお仕えしたいと思います」


倭人の総理を護る決意は固かった。


「周防社長の頼みでも、これだけは訊けません」

「俺も無理を言った。すまない。倭人」

倭人とは気まずいまま、菜穂を任せた。




















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