イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「莉人達にとっても大切な取引だ。そう簡単に止められない。大体、横やりを入れて来たのはお前達の方だ」


倭人さんは私を庇うように前に出て、堂々と吐き捨てた。

「そんな口のきき方を出来るのは今の間よ」

紅蘭さんはドレスの裾をたくし上げて、ガーターベルトに隠し持っていた拳銃を倭人さんに向けた。


裸電球だけの暗い部屋に黒光する銃口。その先は真っ直ぐに倭人さんに向けられる。

私も倭人さんも息を潜め、凍り付いたかのようにその場に立ち尽くす。

「ほら、周防社長に電話をしなさい」

紅蘭さんが私にスマホを渡した。


男性に奪われた私のスマホだ。


倭人さんに銃口を向けながら紅蘭さんは指示した。


スマホを受け取ったが余りの恐怖で手が震え、床に落としてしまった。


私は慌ててしゃがみ込み、スマホを手にして、仕事中の悠真さんに電話を掛けた。


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