イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「菜穂様のスマホのGPSで調べた所、二人の監禁場所が分かりました。油麻地(ヤウマテイ)です」
来亜は俺が通話中に隣で冷静に聞き流しながら二人の居場所を特定してくれた。


「マフィアの巣窟だな・・・」

莉人がポツリと呟く。


「二人の命が最優先だ。買収からは手を引く。
3億円は急いで準備しよう」


「莉…人」

状況に狼狽える俺を他所に莉人と来亜は冷静な対応を見せる。


「お前も落ち着けっ!悠真」

「分かってる・・・」

俺が菜穂の代わりに誘拐されれば良かった。

俺は菜穂を苦しませてばかりだ。俺は菜穂の疫病神でしかないのか。


「自身を責めても何もはじまりませんよ。社長」


「来亜・・・」


二人に支えられ、支社長を加え、現地の情報の招集にあたった。


「二人を捜すにしても、ここはマフィアの巣窟。
素人の俺達が行くのは非常に危険だ」


「やはり、領事館に連絡を入れ、香港警察の協力をお願いした方が」


宮田支社長の言葉は正論だったが、倭人は総理秘書官。
「コトが大きくなる可能性が大だ。それは出来ない」

莉人は首を横に振って拒否した。
緊迫した空気の中、受付嬢が一人の私服警官を連れて来た。











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