イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~

菜穂side~

「大丈夫ですか?」

倭人さんの左肩に紅蘭さんの銃弾を掠った。

無造作に放置された私のバックからハンカチを取り出し、倭人さんの傷口に押し当てる。

苦悶の表情を浮かべて額に汗を滲ませて、吐息は痛みで苦しそうだった。


「ありがとう・・・ございます」

「喋らない方がいいと思います」

「そう・・・ですね」

ハンカチで押さえても、血が止まらない。倭人さんの顔から血の気も引いている。

彼は瞳を閉じて、怪我の痛みに耐えていた。

「食事よ」

私達の前に紅蘭さんが食事を持って来た。

運ばれて来た料理はお粥に飲茶・・・この辺りの屋台で売っているようなモノだった。

「食事は要りませんから…彼を病院に連れて行って下さい」

「それは出来ないわね。貴方方は大事な人質。それにどうせ貴方達は殺される運命。今、助けても、仕方がないわ」

紅蘭さんは立ち上がり、踵を返した。

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