イノセントラヴ～不実な社長と契約結婚～
「やはり・・・私服に着替えた方が良かったですね。目立っています」

来亜が耳打ちする。

俺は自分の姿を見て周囲を見渡す。

薄暗い路地に屯する連中が俺達を胡散臭そうに見ている。

俺達が見つめるとパッと顔を逸らして、見て見ぬ振りをしていた。

スーツ姿の俺達は来亜が言うように目立っている。

連中から見れば、俺達は格好の鴨だな。


「誰かが後を付けている」

現地の私服警官・ヤン・リーチンが俺達に呟く。


俺は後ろを振り返り、目を凝らすが誰も居ない。


一般人には感じない警官の直感だろうか。



「二手に分かれた方がいいな」
ヤン警官は香港人だが流暢な日本語を話す。

「君はこっちに。周防社長、我々はあちらにいきまいしょう」


来亜は心配そうに俺を見つめ、ヤンに頭を下げた。

「社長をお願いします。ヤン警官」


「任せておけ」

俺はヤン警官と来亜とは反対方向に路地に入った。



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