イノセントラヴ～不実な社長と契約結婚～
バーに入ると煙草の煙が立ち込めていた。

息苦しい店内には、カウンターがあり、男性達は立って談笑しながら酒を煽っていた。

後にはビリヤード台で、男性達3人が煙草を咥えながら玉を突いている。

煤けたような空気に嫌悪感を示しながらヤン警官に金魚の糞のように後を付いて行く。


ヤン警官は、カウンター越しに居る知り合いらしきバーテンに広東語で挨拶。

俺は黙ってバーテンに会釈した。

「何を飲みますか？」

「飲む？俺は結構です」

酒を勧めるヤン警官。

俺は菜穂達のコトを考えると酒なんて飲む気になれない。

先程まで切羽詰った空気の中で過ごして来たと言うのに、ヤン警官は馴染みの店に入った途端、職務を忘れ、酒を飲み始める。

俺は隣で悠長に酒を飲み、バーテンと喋るヤン警官の態度に苛立つ。


何もオーダーしなかった俺の前にバーテンが外国産の瓶ビールを置いた。サイズは330ミリリットルの手ごろなサイズ。

「俺の奢りだ。周防社長。ビールを飲んで落ち着けっ」

苛立つ俺の心を見抜いているのかヤン警官は飲むよう勧める。

俺は渋い顔しながら瓶ビールに口を付けた。

外国産のビールは余りスキじゃないがヤン警官の奢りだ仕方がなく口に含んだ。


ビールを半分飲むと、急に瞼重くなり、そのまま意識を失ってしまった。




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