イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
こまごました露店を尻目に通りを抜けるとようやく車の通行する大きな道が見えて来た。


「助かりましたね」

パトカーまで後僅か。

悠真さんは歩いている間ずっと私の手を握ってくれた。

広く大きな温かな手。
兄に似た手だけど、何かが違う。

私はこのまま…この手を離したくない・・・


これからずっと悠真さんと一緒に居たい。


悠真さんの父親に私の父は殺されたと言ったが、私は悠真さんを恨めない。


恨まなければ、親不孝なのだろうか?


反対車線に停止したパトカー。


原色の光を放つネオン街の看板が眩しい。


私達の前に走り込んで来た黒い車の窓が不意に開き、黒光りした銃口を見える。


「危ないっ!!?菜穂」


悠真さんが私の前に立ち塞がり、次の瞬間・・・



「ゆ、悠真様!!?」


悠真さんはその場に蹲り、呻く。


白いシャツの胸元が赤いワインを零したように染まっていく。






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