イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
菜穂side~
病院のロビーで待っていた悠子さんに来亜さんが頭を下げた。
「申し訳有りません。悠子様。悠真様は悠子様にはお会いしたくないと」
「いつものコトだから慣れてるわ。ありがとう。来亜君」
口ではそう言いながらも悠子さんの瞳には憂いが宿っていた。
「いえ」
「私も仕事があるし、戻るわ。悠真の意識が回復しただけでも嬉しいわ」
悠真さんは7時間半に及ぶ長時間の手術に耐え、丸2日意識を戻さなかった。
このまま…意識が回復しなければどうしようかと私達は気が気でなかった。
悠子さんも仕事を放りだし、ずっと悠真さんの為にこの病院の待合で意識の回復を待っていた。
「後は宜しくね。菜穂さん」
「あ、はい」
悠子さんは悠真さんのキモチを受け入れ、病院を出る。
「本当に悠子さんはお金で悠真さんを捨てたんですか?」
「それは先代の社長であり、悠真様から見ればお爺様に当たる社長の命令だと思います。江戸時代から続く老舗料亭を自分の代で終わらせたくない思い、そして、周防家の後継者に恵まれなかった先代の当主様の焦り。二人の思いが悠子様と悠真様を引き離したんだと父が申しておりました」
「そう説明すれば、悠真だって・・・」
「父は悠真様に説明しました。でも、悠真様の方が訊く耳を持たなくて」
「申し訳有りません。悠子様。悠真様は悠子様にはお会いしたくないと」
「いつものコトだから慣れてるわ。ありがとう。来亜君」
口ではそう言いながらも悠子さんの瞳には憂いが宿っていた。
「いえ」
「私も仕事があるし、戻るわ。悠真の意識が回復しただけでも嬉しいわ」
悠真さんは7時間半に及ぶ長時間の手術に耐え、丸2日意識を戻さなかった。
このまま…意識が回復しなければどうしようかと私達は気が気でなかった。
悠子さんも仕事を放りだし、ずっと悠真さんの為にこの病院の待合で意識の回復を待っていた。
「後は宜しくね。菜穂さん」
「あ、はい」
悠子さんは悠真さんのキモチを受け入れ、病院を出る。
「本当に悠子さんはお金で悠真さんを捨てたんですか?」
「それは先代の社長であり、悠真様から見ればお爺様に当たる社長の命令だと思います。江戸時代から続く老舗料亭を自分の代で終わらせたくない思い、そして、周防家の後継者に恵まれなかった先代の当主様の焦り。二人の思いが悠子様と悠真様を引き離したんだと父が申しておりました」
「そう説明すれば、悠真だって・・・」
「父は悠真様に説明しました。でも、悠真様の方が訊く耳を持たなくて」