イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
きりっとした黒い眉毛、理知的な黒い切れ長の瞳、高い鼻梁に整った顔の周防悠真(スオウユウマ)社長。
彼は、このビルの8階から10階にある『B.C.Building lnc.』の社長を務める。
この都心に聳える地下4階地上55階建ての『B.C.square TOKYO』も彼の所有するビル。
彼と私は初対面ではない。彼は『ヘンリーズコーヒー』の常連客だった。

でも、こうしてお近づきなったのは初めてで、周防社長の美貌とオーラに緊張した。

私はドキドキする胸を抑えて
コーヒーのカップソーサーをテーブルに置く。

緊張で震える手許。

「!!?」

私は謝ってコーヒーを書類の上に零してしまった。
真っ白な紙がみるみるコーヒー色に染まっていく。


「おいっ!?何をしているんだ!?」

私の頭の中は突然のパニックで真っ白になってしまったが、周防社長の怒鳴り声で我に返った。

「も、申し訳ありません!」

『この商談は白紙だな。ミスター周防』


冷たい英語の口調が辺りに響き渡る。

『ま、待って下さい!ミスター・ポール』

外人はソファを立ち上がって、部屋を出て行った。

「追い駆けろ!吹雪(フブキ)」

「承知しました。社長」

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