イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「期限付きとは言え、やっぱり無理です」


「期限付きと言ったのは、傷つきたくないからです。社長の父親は亡くなられた先代の会長で、母親は京都で江戸時代から続く由緒ある料亭の令嬢でした。先代の会長には本妻が居て、社長の母親とは愛人関係にありました。
でも、子供に恵まれず、後継者問題に揺れた先代の社長は当時、傾きかけていた料亭に金銭的な援助を約束して、幼い社長を引き取りました」


実の母親から引き離されたってコト?


「社長は今でも実の母親から捨てられたと思っています。
引き取られた社長に待っていたのは先代の会長の厳しい躾でした。
社長は先代の会長の期待以上に叔父である今の会長を凌ぐ存在に成長しました」


悠真さんは誰が見ても、優秀な人。あの歳でこんな大きなビルのオーナーとなり、世界を股に掛けた仕事をしている。


「でも、社長は人として一番大切なモノを要らないと言う人間になってしましました」


「人として一番大切なモノって?」


「愛ですよ。
社長の口癖は愛は要らない。愛は不要なモノだと豪語しています」



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