イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《6》看板娘の行方

悠真side~

「岩佐さん貴方のおかげで事業開始から半年目で黒字になりそうだ。感謝するよ」


「いえいえ、周防社長ご自身のお力ですよ」


「岩佐さんのおかげです。これからもよろしくお願い致しますよ」


岩佐高都(イワサタカト)36歳
アッパーフロアの38階から41階にある世界三大コンサルティング会社の一つ『フロンティア』のコンサルタント。

社長就任時、赤字だった我が社の『事業再生』を請け負い、見事黒字に転換させ、業務に関わる『情報』の一気通貫した管理システムの基盤をも作ってくれた人。元は大手ゼネコンの営業マンとして活躍し、建築業界にも詳しい。

彼の無駄を省いた合理的な管理システムのおかげで、業績が飛躍的に伸びだ。

彼の構築した事業プランを元に新規事業にも着手し、業務開始から半年目で黒字の成果を上げた。

彼は俺の最強のビジネスパートナー。


仕事用に着けている黒縁の眼鏡を外し、スーツの胸ポケットに収めると来亜が淹れた緑茶を啜った。

漆黒の切れ長の瞳は常に人の先を見ている。

彼の考案するプランは緻密で分析力も細かい。

幾つもセクターのマネジャーを務め、クライアントに立案する岩佐さん。
コンサルティングの仕事は激務だと訊いているが、彼の表情は溌剌とし、低い声は常に自信が満ち溢れている。

ワーカーホリックな働き振り。
24時間働く男。
実は岩佐さんは・・・生身の人間ではなく、サイボーグだったりして。


「緑茶よりもヘンリーズコーヒーが飲みたい」

「え、あ…今からオーダーしましょうか?」


「周防社長、『ヘンリーズコーヒー』の看板娘をクビにしたって本当ですか?」


「看板娘?」


もしかして、岩佐さんも菜穂のコトを・・・

噂通り、菜穂を狙う男は多いんだ。






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