イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
悠真さんは柔らかい微笑を湛えながら、私の口にメロンを突っ込んだ。

「美味いか?」

私は口に手を当ててメロンを頬張り、美味いと言う意思表示に頷いた。


「お前、『フロンティア』の岩佐さんを知ってるか?」

「え、あ…毎朝、『ヘンリーズ』のコーヒーをテイクアウトしていく常連さんです」

「何か言われたか?」

「君は私の癒しだと言われたコトが・・・」

「ふうん」

二口目のメロンは自分の口に運び、眉を逆ハの字にして複雑な表情を浮かべる。


「メロン、美味しくないんですか?」


「メロンは美味い。岩佐さんは36歳だ。一応独身だけど。お前よりも遥かに年上だ」

「岩佐さんって36歳だったんですか…年よりも若く見えますね」

「悔しいけど、岩佐さんには色々とビジネスで助けられた」

「アッパーフロアで働く人達って皆、カッコいいですよね」

悠真さんの眉間のシワが深くなり、急に不機嫌なり、プイッと顔を背けた。


「私、悪いコト言いました?」


「何だかイライラして来た」

「イライラって・・・」

悠真さんの怒った理由が分からず、考え込んでいると先に部屋へと退散してしまった。
私は胸に溢れたわだかまりを拭おうと悠真さんの部屋を訊ねる。

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