イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
私は逃げる気はなかった。
でも、バイトをクビになって責任は取ったつもり。

周防社長は私に何をしろと言うんだろうか?

隣に座る彼の睥睨する目は怖かった。神様が与えた彼の美貌は壮絶だ。
その壮絶な美貌の持ち主が怒りを露わにしている。それほど、恐ろしいコトはなかった。

でも、わざわざホテルの一室で大事なビジネスの話をするコト自体が間違っている。
自分の失敗を棚に上げるワケじゃないけど。
書類に少しコーヒーを零した位で、商談を途中で投げ出して、どこかに行ってしまう取引先もどうかしている。


「私は何をすればいいんですか?」

「そうだな・・・」


周防社長は自分の顎を摘まんで考え込んだ。

「3億はお前のカラダで返済して貰おうか?」

周防社長の目が私のカラダを値踏みしたかように見つめ始めた。


彼の視線に項が熱くなる。
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