イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「莉人様の仰る通り、止めた方がいいですよ」

「それよりも吹雪から何か報告あったか?」

「菜穂様の持って来た私物の中には何も見つからなかったと」

俺は吹雪に菜穂の持って来たキャスターの中身を調べるよう命令した。

「芦沢はどんな形で菜穂に機密を託したんだ?」

「俺が思うには、多分・・・菜穂様がずっと身に着けているロケットペンダントの中にSDカードのような小さなモノにして隠したと考えます」


「菜穂のペンダント?そう言えば、身に着けていたな」

「外す隙を狙って・・・」

「外す隙っていつだ?寝る時か・・・」


「入浴中だと思いますが」


「に、入浴中!!?」

俺の全身が茹るように熱くなって、鼓動は早鐘を打つ。


「入浴している隙を狙って、ペンダントを奪って調べてみましょう」

「だ、誰がその役目を担う?まさか、来亜お前か?」


「菜穂様に見つかれば、俺は覗きの現行犯で逮捕されます。ここは夫である悠真様にお願いします」


「俺?待てよ。そう言われても、俺は名ばかりの夫で。正式には結婚してないし、赤の他人だ」


「それよりも会議急がないと」

「そうだ。会議だ」

話を途中で畳んで社長室を出て、会議室に向かった。
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