イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~

菜穂side~

白で統一されたバスルーム。

床から壁は総大理石で、天井にゴージャスなシャンデリアが吊り下がっていた。

私が来るまで、このバスルームは悠真さんが独占していたと言う。

埋め込みの巨大な液晶テレビもあり、広々した浴槽に足を広げながら、テレビ観賞も出来る。

テレビの反対側は硝子張りで、東京の夜景が楽しめる贅沢極まりない。


海外デザイナーに頼んで、手がけた悠真さんのラグジュアリーな空間に私も癒された。


浴槽に浸かり、温まっていくカラダ。


私は硝子越しに見えるイルミネーションで輝く街を眺めた。


マンションを出て、ずっとネットカフェで暮らしていたから、お風呂はシャワーで済ませていた。

こうして浴槽に浸かるのは1年振りか・・・


兄が託した悠真さんの会社の機密。


兄から託された記憶はなく、寝耳に水のような話でどうするコトも出来ない。


悠真さんがその機密を手に入れれば、契約は終了して、彼の妻役は解消。


このセレブな暮らしとはさよなら。


3億の借金もチャラになって、自由の身になれる。





< 62 / 235 >

この作品をシェア

pagetop