イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《8》彼女の望むモノ

悠真side~

紗江のブティックの服の値段にも狼狽していた菜穂。

彼女がセレブの暮らしに憧れているとは思えない。

―――――菜穂は嘘を付いている。

菜穂がどうして嘘を付いたのか分からぬまま、朝を迎えた。


俺は彼女の嘘に付け込もうとしている。


「額の傷痛みますか?」

来亜は俺の今日の会議の資料を渡し、前髪で隠れた額を心配そうに見つめた。


「別に。大体、お前のせいだ。顔は隠した方がいいと目出し帽なんか被せやがって。菜穂に余計不審がられた」

「でも、菜穂様の裸見たんでしょ?」

一瞬、俺の脳裏に昨日見た菜穂の裸が浮かぶ。

菜穂は着やせするタイプの女性で、俺の好むメリハリボディの持ち主だった。


「ほんの一瞬だ・・・」


「これから、どうやって彼女の口を割らせるつもりですか?」


俺は資料をデスクに置き、頬に手を当てた。


「彼女の望むコトをして、満たし、自然に話すよう努力する」


「それは社長の望むコトでもありますね」

「俺の望むコトじゃない」

俺は強く否定して、今の状況を面白おかしく見ている来亜を睨む。

「吹雪のヤツ、どうやら菜穂様のコトを想っているようですよ」

「えっ!?」
俺は来亜の言葉に弾かれ、椅子から立ち上がった。
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