イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《9》突然の初体験
菜穂side~
周囲の人達は密かに悠真さんと私に注目していた。
悠真さんを見つめる視線は熱いが、私を見つめる視線は何処か冷たい。
その視線の温度差が辛く、食も進まない。
悠真さんは私を他所に、周囲の視線には頓着せずに黙々と食べていた。
メインディッシュの肉料理を口に運んでいると、従業員の一人が悠真さんの話しかけて来た。
「周防社長、店の前に『フロンティア』の岩佐様が緊急でご紹介したい方が居るとお見えになっておられます。どう対応させて頂きましょうか?」
岩佐さん。
その名前に懐かしさを感じる。
「無粋だな。まぁ、いい。ここに来るよう伝えてくれ」
悠真さんはフォークとナイフをテーブルに置き、肉の油で汚れた唇をナフキンで拭いた。
私も悠真さんに習い、食べるのを中断した。
「食事中に申し訳ありません。周防社長」
岩佐さんが申し訳なさそうに頭を下げながら一人の男性を連れて、現れた。
「俺に紹介したいと言うのは隣の男性か?」
「はい」
「初めまして、フリーランスのコンサルタントの草壁倭人(クサカベヤマト)と申します」
薄いグレーの三つ揃いスーツ姿に黒縁の眼鏡を掛けた男性が一歩前に足を出し、丁寧に頭を下げて自己紹介した。
「フリーランスのコンサルタントか・・・」
「私の大学時代の後輩で、彼は優秀です。私の代わりに彼を使ってやってください」
「岩佐さんのお墨付きなら、考えてやろう」
「ありがとうございます。周防社長」
草壁さんは悠真さんに名刺を渡した。
「用があれば、こちらから連絡しよう」
「ありがとうございます」
岩佐さんは私を一瞥したが、何も言わず早々とレストランを出てしまった。
悠真さんを見つめる視線は熱いが、私を見つめる視線は何処か冷たい。
その視線の温度差が辛く、食も進まない。
悠真さんは私を他所に、周囲の視線には頓着せずに黙々と食べていた。
メインディッシュの肉料理を口に運んでいると、従業員の一人が悠真さんの話しかけて来た。
「周防社長、店の前に『フロンティア』の岩佐様が緊急でご紹介したい方が居るとお見えになっておられます。どう対応させて頂きましょうか?」
岩佐さん。
その名前に懐かしさを感じる。
「無粋だな。まぁ、いい。ここに来るよう伝えてくれ」
悠真さんはフォークとナイフをテーブルに置き、肉の油で汚れた唇をナフキンで拭いた。
私も悠真さんに習い、食べるのを中断した。
「食事中に申し訳ありません。周防社長」
岩佐さんが申し訳なさそうに頭を下げながら一人の男性を連れて、現れた。
「俺に紹介したいと言うのは隣の男性か?」
「はい」
「初めまして、フリーランスのコンサルタントの草壁倭人(クサカベヤマト)と申します」
薄いグレーの三つ揃いスーツ姿に黒縁の眼鏡を掛けた男性が一歩前に足を出し、丁寧に頭を下げて自己紹介した。
「フリーランスのコンサルタントか・・・」
「私の大学時代の後輩で、彼は優秀です。私の代わりに彼を使ってやってください」
「岩佐さんのお墨付きなら、考えてやろう」
「ありがとうございます。周防社長」
草壁さんは悠真さんに名刺を渡した。
「用があれば、こちらから連絡しよう」
「ありがとうございます」
岩佐さんは私を一瞥したが、何も言わず早々とレストランを出てしまった。