イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
そして、そのまま彼の顔が私の顔に重なった。

――――――私は彼にファーストキスを奪われてしまった。

瞼の奥がジリジリと焦げ付く。

知らない間に涙を頬を濡らした。

彼は私の涙を見て動揺したのか、慌ててカラダを起こした。

「泣き落としか…泣いても無駄だ。泣いても3億の損失は埋まらないぞ」

「私は別に泣いて許しを乞う気は有りません!恋人でもない男性に初めてのキスを奪われたから…悲しいだけです」

「お前、今まで誰とも付き合ったコトないのか?」

「いけないですか?」

「・・・悪かった」

周防社長は急に態度を変えて、私にハンカチを差し出した。
口では血も涙無い言葉を吐き捨てているのに。
言葉とは裏腹の彼の態度に鼓動が高鳴った。

ハンカチを受け取らない私に業を煮やしたのか…強引に私の瞳の涙を拭いた。

「アイメイクが崩れます!」
「人の親切を無碍にする女だな・・・」
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