イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《11》おいしい話

悠真side~

新鋭の投資家ポール氏との商談は実際3億の損失処ではなかった。

俺はその損失の穴埋めに頭を痛めていた。

そんな折、莉人が俺においしい話を持って来た。

『インターナショナル香港』の買収話。

ビクトリアハーバーに面した九龍半島や香港島にある高級ホテルの一つ。

香港出張の際に一度だけ宿泊した経験があった。

概観こそは古いが、1階のロビーから見える夜景は絶景だった。

「しかし、その話は大方まとまっていたはずだろ?」


「強力なライバルが登場がしたんだ。
中国本土系不動産ファンド『王龍社』だ」


「・・・本土でも土地を爆買いしている…会社か・・・」

「会長に相談したところ、アジア系の国々のビル買収を成功させている悠真なら、何かいい知恵があるだろうとポール氏との商談に失敗した悠真を心配してだな…お前の方に話を持って来てやったんだ」

「会長が俺を心配している?有り得ないな」

俺は首を傾げ、コーヒーを啜った。


「あそこの夜景は香港でも最高だ」

「・・・」

「買収が成功したら、お前の手柄にしてやる。ウチの香港支社と連携して、この買収話をまとめてくれ」

「本当にいいのか?」

「いいよ」

莉人は優しく笑って返す。

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