ドリーミィ✡ マジカリア
マリア先輩の顔からは、さっきまでの怒りと焦りが入り交じった様子は、もう跡形も無く消え去っていた。
その代わりと言わんばかりに優しい微笑みが一杯に広がっていた。
「いえ、その…結局この子達は……ってあれ?」
そこには不可思議な光景があった。
さっきまでノアとトアがいた場所には、いつの間にか誰もいなくなっていたのだ。
ただただ、そこは保健室前廊下独特の静かな静寂が広がっている。
「え、え!?あの…先輩?これは……?」
「本当ごめん…でも、私ももう行かなくちゃいけないの……だから代わりの説明役を呼ぶね!」
そんな事を言いながら、先輩はゆっくりと眼を閉じる。
――ごめん、百合ちゃん!今までの状況は把握してる?――
――大丈夫です!今からそっちに向かいますね!――
…まただ。
さっきの声が頭の中で反響する。
でも、違う。これは………………
…マリア先輩の声だ。
…さっき聞こえていた声はマリア先輩の声…だった?
……そしてもう1人の方の声…
…これは百合ちゃんの声だ。