ドリーミィ✡ マジカリア


間違いない。透き通る様に透明で、どこか懐かしく温かい。日溜まりの様な声。


…間違える筈も無いのだ。


「……あの先輩、これって…」


「……? ………え!もしかして、テレパシーが聞こえるの!?」



――え。
――――テレパシー?


「―テレパシー?……え、テレパシー?」

そんな物がある訳がない。
もしかして、マリア先輩って…頭が……


……いやいや
そうやって決めつけるのは良くないよね。
うん。

「…えと、テレパシーって…何ですか?」

取り敢えず、そのままの疑問を投げ掛けてみる。




「テレパシーはマリア先輩の魔法だよ、苺花ちゃん」

そう答えた声は明かにマリア先輩の声では無かった。

振り向くといつの間にか私の目の前に百合ちゃんが立っていた。


思わず小さく悲鳴を上げ、後ずさる。


「ごめん百合ちゃん、後は任せた!」


「大丈夫ですよ、マリア先輩。夜魔(ナイティア)
退治、気を付けて行ってきてください」



するとマリア先輩は廊下の窓の鍵を開け、枠の部分に手を掛けてそこからひょい、と飛び降りた。

否、

マリア先輩は3階の廊下の窓から
特に何をするともなく、特別に何をすることもなく、ひょい、とそれがさも当たり前かの様に、飛び降りたのだった。


「って、えぇええええっ!!?」



さすがに驚く。
当たり前だ。普通の人間がこの高さから飛び降りて無事なはずがない。

慌てて窓の外を見下ろすがそこにマリア先輩はいなかった。


「え、ぇえ、え!?マ、マリア先輩は…!?」


「マリア先輩なら大丈夫。安心して」


百合ちゃんが妙に冷静な声色で私を諭す様に言った。

言った。
が、これの何処が安心していられる物か。

何から何まで急展開過ぎて何が何だか分からない。



「ごめんね苺花ちゃん、私、苺花ちゃんに隠し事をしていたの」


百合ちゃんが急に話し出した。

隠し事?
なんの事だろうか。

考える暇すら与えずに百合ちゃんは淡々とした口調で語り始めた。



「こんなこと言われても信じられないと思うけど、ね。」
と、百合ちゃんは若干言いづらそうに、でも、一息に言った。
「本当に馬鹿馬鹿しい話何だけど、一口に言うと、私、いや、私達は、
『魔法少女』なんだ」








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