『鳥』になる瞬間。
遡ること、２時間前。
『えー、続いてですが、我が校は部活動が盛んでして、全国で活躍している部活動がいくつもあります。』
ハゲ(校長)の長ーーい話を聞いていると、俺が楽しみにしていた｢部活動について｣の話が来た。俺はすぐさま目をギンギンに見開いて、姿勢を正す。
『その中でも特に活躍しているのは、陸上競技部です。皆さんも一度は耳にしたことがあるとは思いますが、我が校にはあの｢藤崎千早｣選手が所属しております』
｢藤崎千早｣の名前が出た瞬間、保護者席からは『おぉ･･･』という声が聞こえる。それにつられて、俺も｢すげぇ･･･｣と呟く。
そう、俺がこの陸上の強豪校に入学した理由、それは｢藤崎千早｣と練習をしたいからだ。
中3の秋に進路調査票にこれを書いた時、担任に呼び出しをくらった。でも陸上で強くなりたいなら、誰だってこう思うはずだ。
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