『鳥』になる瞬間。

ゼッケンを見せ終わり、こちらに戻ってきたりんは、私に気づくなり拳を震わせ･･･
｢･･････よ･･･｣
｢･･･？｣
｢会いたかったよ千早ぁぁぁぁ！！｣

ーーー私に抱きついてきた。

｢い、痛いって･･･｣
｢足の調子はどうなの？痛くない？前みたいに綺麗に跳べる？大丈夫？｣
･･･長い。それに早いよ。
｢足の調子は万全。痛くないよ。前みたいに跳べるのかは分からないけど･･･｣
｢そっかぁ･･･良かった！また千早と跳べるなんて･･･もう、嬉しくて･･･ｳｯ･･･｣
｢あー、泣かないでよ、もう･･･｣
『鈴木りん』。他者から見れば、｢口数が少なさそう｣｢クールなイメージ｣｢怖そう｣などと言われがちだが、実はとても明るくて気さくな子。

そんなりんと出会ったのは、小学生大会ーーつまり、私が一番楽しく陸上をやっていた時だった。