『鳥』になる瞬間。
5年前ーーー

招集が始まりゼッケンを見せようとしていた時のこと。
当時の私は、ユニフォームにはつけずに先に見せ、その後移動する時につけるという方法をとっていた。
だがそのゼッケンが無い。だんだん自分の名前が近づいてきても見つからずに困っていた、その時ーーー

『あのー・・・これ、もしかしてあなたの?』
後ろを向くと、そこには私より少し背が小さい女の子が、私のゼッケンを持って立っていた。なぜか汗をかいていて、息も上がっていたが。
『そ、それ・・・!私の!どこにあったの?』
『あの、あなたがサブトラから出た時にリュックから落ちて・・・呼び止めたんだけど、あなた気づかなくって・・・。だから走って追いかけてきたの』
『あ・・・』

私はアップが終わると、集中力を高めるために音楽を聴いていたのだ。

『あ、ありがとう!ごめんね、そんな走らせちゃって・・・』
『ううん!大丈夫!私もここに来る予定だったし』
『え?てことは、あなたも・・・』
『自己紹介がまだだったね。私の名前は鈴木りん。幅跳びをやってるの。あなたは?』
『わ、私は藤崎千早・・・私も幅跳びをやってるの』

ーーーこれも私を支えてくれるいい出会いになったのだ。
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