真実のカギ
1章 〜1つ目の鍵〜
帽子の男
「あ、じゃあここで降ろしてください。」
「わかりました。
1120円になります。
はい、ちょうどですね、レシートは要りま、、、あ、ありがとうございました!」
俺は5年ほど前からタクシー会社で働いている。
それまでは美容師をやっていたのだが、5年前右手を怪我してしまい、はさみを握れなくなってしまった。
日常生活には支障はないので、とりあえず知り合いにすすめられたタクシー会社に入った。
なにかいい仕事を探そうと思っていたが、ドライブ好きな俺にとって一日中車を運転してればいいこの仕事は、割と苦ではなかった。
もちろん酔っ払いや怖い人が乗ってきたり、夜中まで働いていたりと大変な面もあるが、なんとなく今の生活を気に入っていた。
「今年もクリスマスはタクシーの中かなぁ」
今日は12月23日。
あと一週間で2024年も終わってしまう。
俺は30歳になった。
そんなことを思っていると、一人の男が乗ってきた。
帽子を深くかぶっている。
芸能人かも、とベタな考えをするのももう飽きた。
「どちらまで?」
「どこでもいい。『おまい』の行きたいとこに連れてってくれ。」
そういって男は帽子を取った。
(変なやつきたよ。。。)
そう思って俺は
帽子を取った男の顔をバックミラーで確認した瞬間、
(まさか!!)
即座に後ろを振り返った。
「心介、久しぶりっ!」
「み、峯岸!!!!!!!!!!」