はじめまして
引き上げられた女の子はその場に座り込んで、肩を大きく動かして呼吸していた。
そして、俺を見上げた。
その顔は透き通るほど色白かった。
「大丈夫か?」
俺はタオルを彼女に手渡しながら声をかけた。
彼女は黙ったままタオルを受け取った。
その手もおそろしく白い。
まるで、今まで日の光などに当たったことがないのではと思わせる。
その時、なんとなく違和感を感じた。
彼女の服装のことだった。
彼女は真っ白な着物を着ていた。
時代劇の中でとか、雪女の話とかで見るアレだ。
「君、私のこと見えるの?」
彼女はタオルで髪を拭きながら言った。
「はぁ?」
それが何を意味してるのか、俺にはわからず気の抜けた声を口から吐いた。
もしかして、この人、溺れたショックで混乱してるのかな?
それとも、こんな変な服着てるんだし、もともと少し頭のほうが………
そんなことを考えた。
彼女は俺からの返事を待っているようだった。
俺の顔をじっと見つめている。
顔立ちは悪くない。
いや、寧ろ美人と呼ばれる類いだろう。
そんなことをふと思った。
「あんた、頭の方は大丈夫か?俺の耳が確かなら、『私が見えるの?』って訊いたよな」
俺の言葉に彼女は瞳をまん丸く見開いた。