はじめまして
彼女の足元には影が無かった………
見間違いかと思い、もう一度しっかりと凝視した。
だが、どこにも影は無かった。
俺は自分の足元に視線を向けた。
俺の足元には夏の日射しよって作られた黒々した影がしっかりあった。
「な、なんで?」
掠れた俺の声に彼女は勝ち誇ったように答えた。
「だから、私が幽霊だからよ。ところで、君の名前教えてよ」
俺は敗北を認め、素直に自分の名前を告げた。
「ふぅ~ん、森山岳志君ていうのね。何歳なの?」
この質問にも素直に答えた。
「へぇ~、岳志君、15歳なんだ。じゃあ、中学3年生かな?」
その言葉に俺はコクリと頷いた。
「そうかぁ、中学3年生かぁ。もし、私が生きてれば同い歳だったわね」
そう言った彼女の顔は少し寂しげだった。
「めぐみさんは、なんで幽霊なんかになったの?」
俺はやっとの思いで口を開いた。
幽霊と並んで川辺に座って話をしている現実をようやく少しずつ受け入れられるようになった。
「なんでって、死んじゃったからよ」
めぐみさんは悲しそうに笑いながら言った。
「ごめん、変なこと訊いて………」
俺の言葉に、彼女は優しく首を振った。
「気にしなくていいよ」
その時見せためぐみさんの優しい瞳の色に、俺は完全に恋してしまった。