はじめまして



俺の隣に座るめぐみさんは、すっかり日の昇った青い空を見上げながら口を開いた。

「私ね、今から13年前かな。病気に罹って死んじゃったんだ」

俺は黙ったまま、彼女の整った横顔を見つめた。

「急性の血液の病気でね。体調を崩したあとはあっという間だった」

遠い空を見つめるめぐみさんの瞳は空と同じ色がしていた。

「色々やりたいことがあった。高校にも行きたかったし、恋だってしたかった」



そんな彼女に、なにか優しい言葉のひとつでもかけてあげたかったが、俺の口から出たのはこんな言葉だった。

「元気だしなよ。生きてりゃ、そのうちいいことあるよ」

そして、言い終わってから気付いた。
彼女は、生きてないと………

最低の言葉だよな………
俺、バカだよ………


隣に座る彼女は突然吹き出した。

「岳志君、面白いこと言うわね。それとも皮肉かしら?」

俺は、ごめん、と謝るしかなかった。

めぐみさんはそんな俺に優しく微笑みかけた。

「わかってるわよ。岳志君の優しい気持ちだよね」


俺はその言葉に救われた。
涙が出そうになる。


そして、彼女は続けた。

「もし、生きている時に岳志君と知り合えていたら、私を恋人にしてって立候補したのになぁ」


もうダメだった。
俺の目からは涙が溢れ出して、止まらなくなった。


なんで………
君は………
もう、この世にいないんだ………
ど、どうして………

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