水曜日の片想い
色素の薄い、肩まで伸びた柔らかい髪の毛。
パッチリとした大きな瞳に、くっきり二重。
白くて細い手足。
腕の中に収まってしまうくらいの低い背丈。
絵に描いたような美少女だ。
さすが橘くんの幼なじみ………レベルが高い。
「実は明日からこの学校に通うことになったから、その下見に来ていたってわけ。えっと、あなたの名前は………」
「せっ、瀬戸日菜子って言います」
「日菜子ちゃん、可愛い名前ね!今日からよろしく」
「こちらこそ…………」
きゅっと握った手はすごく柔らかくて、向けられた笑顔に女のわたしでもドキッとしてしまう。
魅力に溢れた子だなぁ………。
突然の新しいキャラクター。
柊百合ちゃんとの出会いが、わたしと橘くんの関係を大きく揺るがすことになるなんて、このときは気づきもしなかった。
橘くんと出会ってから少しずつ縮まった距離。
その日々の努力が全て奪われてしまう。
1%可能があった恋が、0%になる。
そんな、嫌な予感がした。