水曜日の片想い


「2人共ここは図書室だ、静かにしろ」


「あ〜、ごめんね旭陽」


「ご、ごめんなさい………」


いつの間にか橘くんはカウンターに座っていつものように本を読んでいた。


橘くんとまだ全然話せてないよ………。


「本でも読みましょ、日菜子ちゃん」


「あ、うん……!」


パチンとウインクをする百合ちゃんに勝手にわたしが照れちゃう。


ウインクなんて、可愛い人しかやることが許されない。


似合うなぁ。

嫌味なんてひとつも出てこないくらい。


わたしなんかがウインクしたところで、気持ち悪いと言われるのがオチだ。

特に橘くんとかね。



わたしのいつもの特等席の隣に、今日は百合ちゃんが座っている。


なんだか変な気分。


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