水曜日の片想い


「えっと……どうしたの……?」


なんで橘くんが読書を中断してまでわたしの元まで来たのか全く見当がつかない。

何か気に触るようなことでもした……?


「やる」


「え、これは?」


「メロンパン。知らないか?」


「知ってるけど………」


突然目の前に突き出されたのは、購買でよく見かけるメロンパンだった。

なんでメロンパン?


橘くんは確かになんでも持ち歩いているけど、さすがに常にメロンパンを持っているのはおかしい。

たぶん今日買ったものだろう。


「甘いもの好きなんだろ?」


「そうだけど……どうしたの急に」


この言い方はもしかしてわたしのために買って来てくれたんじゃないだろうか。

橘くんは甘党じゃないもの。


「これ食べて早く元気でも出せ」


ほら、やっぱりそうだ。


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