水曜日の片想い


「キミは相変わらずドジだな。俺の前で2度も転んでる」


「あはは……ご迷惑おかけしております」


一緒に帰ったあの日、隣を並んで歩いていることに感動して浮かれて転んじゃったんだっけ。


橘くんの前でこんな醜態を2度もさらして本当に恥ずかしい。


それとも橘くんと一緒に居ると転ぶっていう不吉なジンクスがあったりして……。


「まぁ、今回はぶつかった俺も悪いけどさ」


そう言って、床に散らばった教材を拾ってくれている。


「あっ!そんないいよ。わたしがちゃんと前見てなかったから………」


「人の好意は素直に受け入れた方が可愛げあるんじゃない?」


「えっ、可愛っ…………」


それってわたしが可愛くないってこと?

「ごめんなさい」を何度も繰り返す子より、「ありがとう」って素直に受け入れる子の方が印象が上がるってことか。

あーあ、可愛くない子って思われちゃた……。


橘くんの言葉のせいで少し停止してしまっていたわたしも遅れて教材を集め始めた。


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