水曜日の片想い


「ははっ、なんで敬語になってるんだよ」


「つ、つい………」



優しく笑う橘くんのせいでさらに胸の鼓動が速くなった。


こんなにあっさりデートができちゃうの?

橘くんと一緒に花火見れるなんて、かなりロマンチックじゃない!?


恋人でもないただの友達なのにこんな贅沢してもいいのかな。


大好きな橘くんとの初デート。

楽しみすぎて今からわくわくする。


何食べようかなとか、何しようかなとか、一瞬でいろんなことが脳内を駆け巡っていく。

今から計画を練っても遅いくらいだ。


こんな奇跡、もう2度と訪れないかもしれない。

それなら、絶対最高な1日にしてみせる。



「ほら、変な顔で笑ってないで帰るぞ」


「へ、変な顔!?」



ついさっきまで目の前に立っていたはずの橘くんが、いつの間にかドアがある場所へと移動していた。

わたしを見て、またくすくすと笑っている。


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