水曜日の片想い


時刻はもうすぐ17時。

約束した時間まであとちょっとだ。

実は30分も前からここで待っていたなんて知られたら正直恥ずかしい。


ずっと楽しみにしてたんだもん。

橘くんを待っていると思うだけで、それだけでドキドキする。


もしもの話だけど、橘くんがわたしを見て「可愛い」なんて言ってくれたらどうしよう?


女の子の浴衣姿は最強!ってネットにも書いてあったし、平凡なわたしでも可愛く見えてたりしないのかな。


「花火よりも日菜子の方がキレイだな」なんて甘いセリフを囁いてくれちゃったり……?

あぁ、もうすぐ橘くんが来ちゃうのに妄想するだけで顔がにやけてくるよ。



入り口付近でにやにやと妄想を繰り返しているうちにあっという間に時間は過ぎて、人混みの中を歩く1人の男の人が目に止まった。

あ、橘くんだ………。


どんなに大勢の人に紛れていても橘くんはすぐにわかる。

元々身長が高いから人より頭が1つ飛び抜けてるっていうのもあるけど、好きな人だから誰よりも輝いて見えるの。

わたしは橘くんしか見れないから。


< 170 / 291 >

この作品をシェア

pagetop