水曜日の片想い
「………あのさ、浴衣……どうかな?」
「似合ってる」でも「可愛い」でもなんでもいいから、とりあえず褒めてくれないかなという期待。
待ち合わせ場所で会ったときは無反応だったし何もないんじゃ寂しいよ。
「いつものキミと何か違うの?」
「うぐっ………」
しかし、わたしの淡い期待はあっさりと砕け散ってしまった。
氷のように冷たい橘くんの一言がグサリと胸を貫いた。
くっ……さすがクール系男子。
デートでも素っ気ないなんて橘くんらしいっちゃ橘くんらしいけど、何か一言くらい……とわがままなわたしの思考回路が邪魔をしてくる。
ちぇっ……。
「そうだよね。いつもと変わらなーーー」
「嘘。わりと似合ってる」
それだけ言うと、すぐに顔を逸らされてしまった。