水曜日の片想い


「おじさん、わたあめ1つ下さい!」


屋台に居たのは、わたあめ屋には似合わないねじりハチマキを巻いたガテン系のおじさんだった。

小麦色の肌でくるくると白い物体を回している。

わ〜、美味しそう。


「はいよっ、1つ300円ね!」


「はい、お願いしま………」


財布から取り出した300円をおじさんの手まであと少しというところだったのに「これで」と、先に違う手が伸びていた。


「まいどっ!」


誰?と思いつつ伸びていた手を辿ると、


「えっ、橘くんっ!?」


隣に立っていた橘くんの手から300円が消えていた。

なっ………。


橘くんも食べるの!?

それとも今のはわたしの分?


でも、たしか橘くんって甘いのあまり得意じゃなかったよね?


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