水曜日の片想い
ぐいっと、あいていた片方の手を引かれ、わたあめ屋さんから離れていく。
おじさんが「彼氏」と言っても橘くんは否定しなかった。
「違います」ってたった一言でよかったはずなのに。
一瞬でも、わたしは橘くんの彼女になれたって思っていいのかな。
もしかして、わたしが彼女でも……嫌じゃないかな?
「わたあめ、ほんとに貰っちゃってもいいの?」
「いいって言っただろ」
いつもの素っ気ない返事でも、優しさがこもってるのがよくわかる。
「そっか。ありがとう……!」
橘くんがくれた優しさにドキドキしながら、わたあめを一口頬張った。
出来立ては特に美味しい。
甘くてとろけるこのふわふわの感触がたまらなく好き。
「ん〜、美味しい!」
思わ勝手に口が動いてしまうくらい。