水曜日の片想い


ずっと逃げていたのかもしれない。


わたしと橘くんじゃつり合わないから今はだめだって、適当な言葉を並べて安心してた。


ずっと保険をかけていたんだと思う。


勉強ができないとフラれる。

本が読めないとフラれる。

平凡な子は好きになってもらえないって、断られる理由を探して橘くんの隣から離れることを恐れていた。


よく考えてみれば、たとえどんなに素敵な美少女だったとしてもフラれるときはフラれるんだ。

それに、橘くんは容赦や技能で人を判断したりしない。


それは一緒にいたわたしが1番よく知っていることでしょう?


告白したってきっと何も変わらない。

橘くんはいつもの橘くんでいてくれるよ。


完璧を求めている間に橘くんに彼女ができたらわたしは呆気なく諦められるの?

そんなこと、無理に決まってるじゃん。


橘くんがまだフリーなうちに気持ちを伝えて、ようやく恋愛対象として見てもらえるんじゃないかな。


もう……逃げたくないよ……。


橘くんに知ってほしい。


わたしがどれほど橘くんが好きかってこと。


< 184 / 291 >

この作品をシェア

pagetop