水曜日の片想い
「顔、熱いな」
ピタリと、橘くんの右手がいつの間にかわたしの頬に触れていた。
びっくりして肩が震え、優しく微笑む橘くんにドキドキしてる。
ただの友達……しかも女の子の顔をそんなあっさり触っちゃってもいいの?
意識してないっていえばそれまでだけど、嫌いな子には普通そんなことしないよね?
こんなんじゃ、また自惚れてしまう。
「橘くんがかっこよすぎるから、ドキドキしちゃった」
いつもなら誤魔化してた。
でも、今日は本当のことを打ち明けようと思う。
ファーストキスに夢を見るだけじゃつまらない。
彼女になりたいと願うだけじゃ叶わない。
「素直すぎるんだよ、キミは………」
花火の下でキスをする夢も、橘くんの彼女になる夢も、現実にしなきゃ意味がないから。
夢を夢のままでいいなんて思いたくないの。
フラれるってわかってるよ。
それでも、どうしてもキミが好きだから、
伝えずにはいられない。
大輪の花火の下でわたしはきっと伝えられる。
橘くんが好きって。