水曜日の片想い


「顔、熱いな」


ピタリと、橘くんの右手がいつの間にかわたしの頬に触れていた。

びっくりして肩が震え、優しく微笑む橘くんにドキドキしてる。


ただの友達……しかも女の子の顔をそんなあっさり触っちゃってもいいの?

意識してないっていえばそれまでだけど、嫌いな子には普通そんなことしないよね?


こんなんじゃ、また自惚れてしまう。



「橘くんがかっこよすぎるから、ドキドキしちゃった」


いつもなら誤魔化してた。


でも、今日は本当のことを打ち明けようと思う。


ファーストキスに夢を見るだけじゃつまらない。

彼女になりたいと願うだけじゃ叶わない。



「素直すぎるんだよ、キミは………」


花火の下でキスをする夢も、橘くんの彼女になる夢も、現実にしなきゃ意味がないから。


夢を夢のままでいいなんて思いたくないの。



フラれるってわかってるよ。


それでも、どうしてもキミが好きだから、

伝えずにはいられない。


大輪の花火の下でわたしはきっと伝えられる。




橘くんが好きって。


< 185 / 291 >

この作品をシェア

pagetop