水曜日の片想い


そんなこと軽々しく言わないでよ………。

めちゃくちゃかっこいいじゃん。


橘くんがわたしのことを見ていてくれてたんだって実感する。


「ありがとう。嬉しい」


橘くんがわたしのために取ってくれたプレゼント。


今まで貰ったものは食べものだったから無くなってしまったけと、今日は形に残るぬいぐるみだ。


きっと今日からこのぬいぐるみを眺め続ける生活が始まるんだろうなぁ。


彼女でもないのにこんなに贅沢していいのかな?


ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめると、わずかな温もりを感じた。

なんだか橘くんの気持ちが詰まってるみたい………。



「そういえば、もうすぐ花火が始まる時間じゃないか?」


「あっ、そうだね」


橘くんが腕につけていた時計を覗き込むと、もう長い針は19時を指していた。


「見やすい所に行きたいなぁ」



間も無く花火大会も終盤だ。

最後の花火が消えてしまったその時は、この夢のような時間も同時に終わってしまう。


何かきっかけでもない限り夏休みが終わるまで橘くんには会えない。


わたしは毎日でも橘くんに会いたいのに。


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