水曜日の片想い


「友達なんかほっといてさ、俺らと遊ぼうよ」


「やっ……」


強引に引っ張られた手首が冷たい。


やだ………触らないでよ………。


改めて悟った身の危険に体がガタガタと震え、じわりと滲む視界のせいでよく前が見えなかった。



「離してっ………!」


なんとか振り払っても「そんな怖がらないでよー」とすぐにまた冷たい感触が手首に触れている。

ひえぇっ、気持ち悪い。


見知らぬ男の人に触られる恐怖と全身を駆け巡る異様な寒気。


今すぐここから逃げたいのに足が地面に縫い疲れたように動かない。

絞り出す声も次第に掠れていき、誰かに届くわけでもなかった。


助けて……………。




橘くん………!


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