水曜日の片想い


「俺の連れに気安く触んな」


バシッと鈍い効果音がした。


さっきまで感じていた冷たい感触は消えている。


「なっ、なんだよお前………!」


この声って……。

いつの間にか閉じてしまっていた目を恐る恐る開くと、


「橘くん……」


鋭い目つきで男の人たちを睨みつける橘くんが立っていた。

来て……くれた…………。


「なに?もしかして彼氏?」


「だったら……なに……?」


橘くんが放つ圧倒的な威圧感に男の人たちが同時にビクッと肩を震わせた。


もしかして………めちゃくちゃ怒ってる………?

鋭い眼差しにわたしも違う意味でビクッとしてきたよ。


「ちっ、なんだよ結局彼氏持ちかよ」

「つまんねぇ女」

「もう行こうぜ……!」


さっきまで威勢がよかった男の人たちも橘くんにビビったのか、逃げるようにバタバタと去って行った。

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