水曜日の片想い
橘くんが……見つけてくれるなんて………。
ようやく恐怖から解放され、目元に溜めていた涙が自然と頬を流れる。
ピンチのときに駆けつけてくれるなんて漫画に出てくるかっこいいヒーローみたいだ。
こんなにたくさんの人の中からわたし1人を見つけて嬉しい。
嬉しすぎて何も言えないよ……。
「っ、はぁ………」
「あっ」
そうだ、橘くん怒ってるんだった………。
喜びに浸ってる場合じゃない。
深いため息をついて手で顔を覆っているが、指の隙間から険しい表情が見える。
「えっと、その……」
貰ったばかりのぬいぐるみを落としてフラフラ勝手に行動するからこうなるんだ。
バカなことをするのはいつもわたし。
怒られても仕方がない。