水曜日の片想い
「あははっ、相変わらずわたしドジだから貰ったばっかのぬいぐるみ落としちゃって……」
何か言わなきゃと、とりあえずくだらない言い訳を並べ始めた。
逃げ道を探しては作り笑顔で誤魔化している。
「そしたら変な男の人たちに声掛けられてびっくりしちゃったよ〜。こんな平凡なわたしでも1人で居たら絡まれーーー」
「何ヘラヘラ笑ってんだよ!!!」
「っ………!」
鼓膜まで破れてしまうんじゃないかと思うほど大きな声だった。
橘くんのこんな大きな怒鳴り声……初めて聞いた……。
「俺が来たからよかったものの、もう少し遅かったら何されてたかわかんないんだぞ!?」
ガシッと両腕を掴まれて、ついさっき男の人たちに向けていた鋭い眼差しが今度はわたしに向けられている。
あまりの気迫に何も言えなかった。
っ……こんなに怒らせちゃうなんて……。
嫌われたかもしれない。
そんな考えが頭の中を過った。
橘くんに嫌われたら……わたし………もう生きていけないかも。