水曜日の片想い
「……っ……あっ……」
声が思うように出てこない。
怖くて縮こまった喉が、声を出すなとわたしに訴えかけているみたいだ。
こんなことで橘くんに嫌われたくないよ。
言うんだ。
悪いのは全部わたしだってわかってるじゃん。
「ごっ、ごめんなさ………」
「めちゃくちゃ心配した」
っ……。
掴まれていた腕から手が離れたかと思えば、ぎゅっと強引に体を抱き寄せられていた。
一瞬、何が起こったのかわからなくて何度も瞬き繰り返した。
「もう俺から離れるな」
耳元で響いた声。
声が近いことにようやく気付き、あの橘くんに抱きしめられているのだと理解した。