水曜日の片想い


トクン、トクン、と弾けそうなほど大きな音を鳴らす心臓音。


橘くんの体にぴったりくっついているからわかるけど、これはわたしだけの音じゃない。



「泣くなよ………」



そう言って涙を拭ってくれる橘くんの手がとても温かくて、優しくて、逆にまた涙が溢れそうになる。



花火を見る前にまた少しキミにが近づいた気がするよ。


全身が心臓になったみたいに熱い。


橘くんがドキドキしているのはわたしを探して走っていたから?


それとも…………。



わたしを抱きしめているからですか?


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