水曜日の片想い
空へ消えた恋心
橘くんの吐息が、橘くんの匂いが、橘くんの全てが、すぐ側にある。
初めて全身に感じる橘くんのぬくもりは、とても安心できて心地がよかった。
男の人たちを欺くためとはいえ、またわたしは一瞬でも橘くんの彼女になれたんだ。
だからね、勝手に考えちゃうの。
わたしみたいな、何の取り柄もない人が彼女になっても嫌じゃないかなって。
橘くんの彼女になりたいって、言ってもいいかな。
その答えを聞くために、これから…………。
「震えは止まった?」
考え込んでいたわたしの頭に、橘くんの声が滑り込んだ。
「へっ!?……あ、うん」
「そうか」
それだけ言うと、橘くんはわたしの体をゆっくりと離す。
あっ………。
もう離れちゃうんだ。
ずっとあのまま、時間が止まってもよかったのに。