水曜日の片想い
醜いことばっかり考えちゃだめなのに。
嫌な考えを弾き飛ばそうと頭を左右に振った。
よしっ。
そして、気合の入れ直し。
「橘くん、百合ちゃん、お待たっ………」
「旭陽はわたしより日菜子ちゃんがいいの?」
えっ………。
ドーンと鳴り響く花火の音に紛れて聞こえた百合ちゃんの声。
なに、今の。
初めて見る百合ちゃんの真剣すぎる表情に、ドクンと心臓が波を打った。
2人の元へ行こうと向かった足はピタリと止まり、飛ばした声は橘くんにも百合ちゃんにも届いていない。
背後に立っているわたしのことなんか気づいていない様子だ。
もしかして……さっきわたしが橘くんに告白したの聞いてたの?
たまたまここで会ったんじゃない。
男の人に絡まれて逃げていたのは本当かもしれないけど、百合ちゃんは知っていてあのタイミングでわたしたちの前に出てきたんだ。